学校の先生を目指す人が受ける試験が、教員採用試験 ですね。毎年どの都道府県でも教員採用試験が行われています。
教員採用試験には、各都道府県や政令指定都市が行っている試験と私立学校が独自に行っている試験があります。また、都道府県によっては私立学校を受験する際に「私学適性検査」を行うところもあります。
「私学適性検査」とは、私立学校の教師を目指す人が集まり一斉に行う試験のことです。それぞれの私立学校が独自に行う試験の前に行うのが特徴です。
それでは、教員採用試験とはどのようなものなのでしょうか。求められる人材や特徴について、中学校・高校・私立学校の3つに分けて見ていきたいと思います。
中学校の実態と教員採用試験の特徴
初めに中学校の実態と中学校の教員採用試験について見てみます。
中学校の実態
多くの子どもは、中学生になると思春期を迎えます。そのため、中学校では小学校や高校と比べて 様々な問題行動が見られるようになります。
例えば、いじめは中学校1年生が最も多く、問題行動は中学校3年生が最も多くなっています。長期不登校も、中学生が最も多いです。
この時期の子どもは、親や教師から自立したいと考える一方で大人に対して依存もしています。この自立と依存の間で悩み、葛藤するのが中学生の特徴です。
中学校では、近年若手教員の離職が深刻な問題となっています。都道府県によっては、採用後5年以内の離職率が20年前の3倍以上に上昇しているところもあります。
中学校の教員採用試験の特徴
中学校の教師には、教科の専門性だけでなく思春期の子ども達に対する生徒指導力や学級経営力、さらに生徒との信頼関係を形成する総合的な人間力が必要とされます。
一次試験では、中学レベルの知識だけでなく高校レベルの知識も問われます。また、中学校では小学校との授業の関連性や学年・単元を通した授業を重視しているため、「中3のこの単元の授業を行うとき、小学校や他の学年とどのように関連付けて行うか。」「この単元であなたが身につけさせたい力は何か。」といった問題が出されることもあります。
また、二次試験の面接では生徒指導力を見る内容が多く出されます。例えば、いじめに関する生徒からの悩み相談、ケンカを見かけたときの指導、不登校の生徒に対する指導、Lineやネット上の悪口への指導といったものです。
それ以外にも、面接で保護者からの悩み相談やクレームに対する対応が見られることもあります。
現在、中学校では若手教職員の離職や教職員数増加計画、1クラス35人学級の導入(一部)等によって採用人数が増えています。特に全国的に理科の教師が不足しているため、理科教師の採用が非常に多くなっています。
そのため、理科の教師を目指している人は「自分みたいな人が求められているのかもしれない。」と自信を持って下さい。今が合格のチャンスです。
また、中学校では複数の運動部の顧問ができる人材が求められています。さらに、野球部の顧問ができるとなると評価はさらに大きくなります。
中学校の教師になると、必ず何かしらの部活動の顧問になります。ベテランの先生方が文化部の顧問につくことが多いため、若手の先生は運動の顧問になることが多いです。
どの部活動の顧問になるのかはその学校の実情によって決まるため、全く経験のない部活動の顧問になることも多いです。
私も、教員時代に野球部、ソフトボール部、剣道部、バスケ部と多くの部活動の顧問をやりました。
中学校の教師を目指している方は、学生時代に多くのスポーツと触れ合っておくことをおすすめします。その経験は 採用試験 で活かされますし、実際に教師になって指導するときにも役に立ちます。
高校の実態と教員採用試験の特徴
次に、高校の実態と高校の教員採用試験について見てみます。
高校の実態
中学校に比べて子どもたちが落ち着いており、問題行動や不登校の数も少なくなっています。しかし、中学校までとは異なり学力がほぼ等しい生徒が集まっているため、進学校かどうかで子どもたちのようすや保護者の期待が大きく異なってくるのも高校の特徴です。
高校の教員採用試験の特徴
高校の教師には、非常に高いレベルの専門性が要求されます。そのため、教員採用試験の問題もかなりレベルが高くなっており、大学レベルの知識が聞かれることも多いです。
また、単に知識があれば良いというわけではなく、「この単元を授業するときあなたはどのような点に注意しますか。」というような授業の仕方を問われることもあるので注意が必要です。
高校になると、例えば理科は物理・化学・生物・地学、社会は地理・日本史・世界史・現代社会…というようにいくつかの分野に分かれていますね。ここで一つ注意が必要です。
教員採用試験ですが、理科は「物理」「化学」「生物」の3つに分かれており、社会は「社会」の1つになっていることが多いです。地学や日本史といった教員採用試験はないことが多いので気をつけて下さい。
また、仮に生物の教員採用試験に合格したとしても地学を担当する可能性があるということにも、注意が必要です。
そして、二次試験の面接では進路相談がテーマになることが多いです。進路相談では「絶対大丈夫。」や「~するべきだよ。」等は禁句です。自分ならどのように生徒や保護者に対応するのかしっかりとシミュレーションしておいて下さい。
私立学校の採用試験と私学適性検査
私立学校は、学校ごとに独自で採用を行っていることが多いです。募集は、新聞の求人欄などに乗っています。
私立学校では、採用の基準が学校によって異なります。例えば「野球部の顧問ができる人材」のように限定がある場合があるので注意が必要です。
また、私立学校は中高一貫教育を採用していることも多いです。したがって、中・高のどちらでも教育を行うことができる人材が求められます。
私立学校の教師を目指す上で注意しなくてはならないことは、私立学校の教師は数年契約になることがほとんどということです。
2~3年といった短い期間で契約が終わることも珍しくないため、すぐに再就職先を見つけなくてはなりません。授業や生徒指導、部活動などである程度の成績を残さないといけないというプレッシャーとも戦わなくてはなりませんね。
次に、私学適性検査について見ていきたいと思います。
私学適性検査とは、静岡県、愛知県、東京都等の私立学校が採用している試験方法です。難易度は高く、大学レベルの専門性が問われます。
難易度が高い私学適性検査ですが、一度試験を行うだけで複数の学校からアプローチが来る可能性があるというメリットもあります。
私学適性検査を行っていない都道府県では、新聞などで募集を探して1ヶ所ずつ試験を受けに行かなければなりません。一般企業の入社試験と同じですね。
一方私学適性検査を受けると、その結果が各私立学校に公表されるようになります。そして、学校側が欲しい人材に直接電話連絡等を行うことで採用が決まるのです。
いかがでしょうか。これが教員採用試験を受ける前に知っておきたい基礎知識になります。
もしかしたら、これまで教員採用試験と言えば公立の学校の試験と考えていた人も多いかもしれません。
しかし、学校の先生という仕事は公立学校だけではありません。公立と私立の2つを受験するという選択肢もあります。もし私立にも興味がある人はぜひ私立も受験してみて下さい。
また、教員採用試験の日程はブロック(関東、中部、九州等)で分かれています。併願も可能ですが、隣接する都道府県は併願できないことが多く、日程的に厳しい場合もあります。
試験の傾向も都道府県によって異なっているため、勉強も大変になります。
しかし、受験する都道府県を1つに絞るとチャンスが1度きりになってしまうというデメリットもあります。多くの都道府県を受験するか1つに絞るかは、自分とよく相談して決めるようにしましょう。
余談ですが、私は初めから静岡県の教員採用試験だけを考えて勉強し、採用試験も静岡県だけ受けました。
教員使用試験の勉強法や面接対策などについては、別の記事で紹介したいと思います。ぜひそちらも参考にしてみて下さい。
まとめ
・中学校・高校・私立学校で教員採用試験の内容や求められる人物像が異なる。
・公立学校だけでなく私立学校の先生という選択肢もある。
・公立学校の採用日はブロックごと決まっている。同じブロック内の併願は困難なので注意。
・中学校・高校・私立学校で教員採用試験の内容や求められる人物像が異なる。
・公立学校だけでなく私立学校の先生という選択肢もある。
・公立学校の採用日はブロックごと決まっている。同じブロック内の併願は困難なので注意。
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