多くの都道府県では、教員採用試験 の2次試験や3次試験で 模擬授業 を行っていますね。
この模擬授業を行う際に、指導案を提出しなければならないこともあります。指導案の提出がない都道府県でも、指導案をきちんと考えておかなければ模擬授業を上手にこなすことはできません。
しかし、教員採用試験を受ける受験者の多くは、指導案をほとんど書いたことがありません。教育実習で少しやった程度の人が多いと思います。
これは、指導案の書き方のポイント をしっかりと押さえられれば他の受験者に差をつけることができるということですよ。チャンスですね。
それでは、模擬授業の指導案はどのように書けば良いのでしょうか。今回は教員採用試験の模擬授業の指導案の書き方のポイントについて見ていきたいと思います。
①授業の狙いをはっきりさせる
模擬授業の指導案を書くときに最も大切なのは、その授業の狙いをはっきりさせることです。
授業の狙いとは、本時の授業を通して生徒をどのように変容させたいかになります。
例えば、
水溶液とはどのようなものか疑問に思った生徒が、食塩や泥等の異なる物質を加えた水を観察したり物質が溶けていく様子を粒子のモデルを用いて表したりする活動を通して、水溶液とは透明で濃さが均一という性質を持つことについて粒子のモデルと関連させながら理解する。
ムラサキイモを加えたホットケーキが膨らんだり色が変わったりするのは、ホットケーキに含まれている炭酸水素ナトリウムが関係していると考えている生徒が、炭酸水素ナトリウムを加熱することで発生する気体の種類や加熱後の物質を調べる活動を通して、ホットケーキが膨らむのは炭酸水素ナトリウムから二酸化炭素が発生しているからであることや、色が変化したのは元の炭酸水素ナトリウムとは異なる強アルカリ性の物質に変化したからであることについて説明できる。
このような感じですね。
その授業を行う前の子どもの姿が、授業を通してどのように変容していくか(変化させたいか)。これをはっきりさせることで、授業の流れや発問が決まってくるのです。
気をつけていただきたいのは、授業の狙いとは知識を身につけさせることではないということです。そのため、「本時の授業を通して○○の知識がつきました」ではいけません。
上の例で言うと、「水溶液とは透明で濃さが均一であることを覚える」ということが狙いではないということです。
泥が水に沈んでいく様子や食塩が水に溶けて見えなくなっていく様子を観察しながら、水溶液の性質について考える過程。その実験から、水溶液について粒子のモデルで表す活動。
どのような活動を通してどのように子ども達の姿が変わっていくのかというのが大切なのです。
授業の狙い、どのような子ども達がどのように変わっていくのかというのが一目で分かる指導案を書きたいですね。面接官が、何が狙いなのかすぐに分かる指導案を作ることを意識しましょう。
②授業の時間配分に気をつける
一般的な授業は、導入5~10分、展開35~40分、まとめ5分でできています。導入は授業の内容をつかむ部分、展開は授業の内容を深める部分になります。この時間配分を意識した指導案を作成しましょう。
1度指導案を作成したら、その指導案通りに授業をしてみると良いですね。時間が余ったり足りなくなったりしないか、確認してみましょう。
③導入にとことんこだわる
教員採用試験で行われる模擬授業は、多くの場合5~10分程度です。5~10分程度というのは、まさに授業の導入の部分ですね。
そうです。いかに「面白そうだな。」「やってみたい。」と思わせる導入ができるかが、試験の合格を左右するのです。
模擬授業の導入については、「教員採用試験に受かる模擬授業のポイントを徹底解説!」を参考にしてみて下さい。
④授業の核となる発問を1つ用意する
授業には、必ず核となる発問が1つあります。そして、この発問の良し悪しが子ども達の授業中の様子を大きく変えます。
ところで、あなたは質問と発問の違いを説明できますか。
文部科学省によると、質問とは「子どもが本文を見れば分かるもの」、発問とは「子どもの思考・認識過程を経るもの」と定義されています。少し難しいですね。
簡単に言うと、質問とは「1問1答で子どもが答えられるもの」、発問とは「答えが1つとは限らず意見が飛び交い思考が深まるもの」という感じですね。
それでは、授業の核となる発問について見てみましょう。赤が教師のセリフ、青が生徒のセリフを表しています。核となる発問は緑です。
◆導入
イヌ、ネコ、ヘビ、カエル、ニワトリ、メダカ、カブトムシ、カニなど、様々な動物の名前を書いたカードを黒板に貼る。
「さあ、黒板に様々な生き物の名前が書いてあるカードを貼りました。」
「すごくいっぱいある。」
「何枚あるんですか。」
「☆このカードの中で、動物はどれかな。自分が動物だと思うものをノートに書いてみよう。時間は1分です。」
「いいかな。じゃあ発表して下さい。」
「イヌとネコとヘビは動物だと思う。」
「ニワトリも動物じゃないの?」
「ニワトリは鳥だから違うでしょ。メダカも魚だし。」
「鳥って動物じゃないの?」
「カニは海にいるけど魚なの?動物なの?」
「カブトムシは昆虫だから動物じゃないよね。」
「いろいろ意見が出てきたね。さあ、この中でどれが動物かというと…。実は全部動物です。」
「ええー。」
「鳥や魚って動物なのですか!?」
「カブトムシはイヌと同じ仲間なの?」
「確かに、イヌとメダカとニワトリが同じ仲間とは思えないね。じゃあ今日は、動物はどのように仲間分けできるか考えていこう。」
課題「動物はどのように仲間分けすることができるのだろう」
今回の導入では、☆の発問が本時の課題へとつながっていることが分かると思います。私が5~10分で簡単な導入をやるとすると、このような感じになります。参考にしてみて下さい。
⑤指導案はシンプルに書く
指導案は、できる限りシンプルに書きましょう。一目で、授業の狙いや核となる発問が何なのか分かる指導案を意識して下さい。
一通り作成したら、読みにくくないか、シンプルで分かりやすくなっているか見直すようにしましょう。読みやすい指導案を作成するのも、教師に必要なスキルです。
模擬授業の内容だけでなく、作成した指導案の良し悪しも評価されています。
⑥課題とまとめがかみ合っているか確認する
教員採用試験の面接官をやっていると、課題とまとめがかみ合っていない指導案をよく見ます。
しかし、これは絶対にNGです。課題に対するまとめになっていないと、授業の目的や目標が分からなくなってしまいます。課題とまとめがかみ合っているか、確実に確認するようにしましょう。
⑦こだわりを捨てる
指導案を作成していると、途中で授業の流れをうまく作れなくなることがあります。
授業の核となる発問や面白い導入は思いついたのに、どうも授業の導入と展開が結びつかない。核となる発問から課題に結びつかない。展開からまとめが結びつかない。このようなときはどうすれば良いのでしょうか。
私なら、指導案の作成に行き詰まったら発問や導入の見直しを行います。
どれだけ自分が面白いと思う導入ができていても、授業にならなければ使えません。授業の流れがうまく作れなくなったときは、導入のこだわりを捨てましょう。
無理やり授業を作るよりも、見直しを行った方がずっと良い授業になりますよ。
⑧内容を詰め込みすぎない
教員採用試験の模擬授業でよくある失敗の1つが、内容を詰め込みすぎて時間内に終わらないというものです。
若手の教師にも見られることなのですが、「あれもやりたいな。」「これもできるだろう。」と欲張りすぎて失敗してしまうパターンです。
指導案を作っていると、あれこれやりたいことが出てきますよね。1時間の授業をより内容の濃いものにしようとすると、色々やりたいことが出てくると思います。
ですが、ちょっと待って下さい。あなたはその教科の専門であり、知識があるから1時間であれこれやっても大丈夫かもしれません。
しかし、子ども達はどうでしょうか。子ども達にとっては、その授業は今まで習ったことがない新しい内容です。
それなのにあれこれ詰め込まれてしまうと、容量オーバーでついてこられなくなってしまいます。授業の狙いは1つに絞り、それに向かう授業を考えるようにしましょう。
ワンポイントメモ! 子どもは時間がかかる
指導案を作成する際、何にどれくらい時間がかかるか考えながら作りますよね。
例えば導入に5分、課題に対する自分の考えを書かせて班で話し合わせるのに10分、班ごとに意見を発表させるのに10分というような感じです。
この時間配分ですが、ゆとりを持つように意識しましょう。子ども達が内容を理解し、動き、ノートにまとめ…というのは、あなたの思っている以上に時間がかかります。
指導案を作成する際、何にどれくらい時間がかかるか考えながら作りますよね。
例えば導入に5分、課題に対する自分の考えを書かせて班で話し合わせるのに10分、班ごとに意見を発表させるのに10分というような感じです。
この時間配分ですが、ゆとりを持つように意識しましょう。子ども達が内容を理解し、動き、ノートにまとめ…というのは、あなたの思っている以上に時間がかかります。
いかがでしょうか。これが、教員採用試験の模擬授業の指導案の書き方のポイントになります。
指導案 を見れば、その人の授業力がある程度分かります。何を狙いにし、どんな発問をして子ども達の心を掴むのか。どんな導入からどんな展開へと繋げるのか。採用試験までじっくりと考えてみて下さい。
まとめ
・授業は狙いをはっきりさせることが重要である。
・導入にこだわり、核となる発問を1つ用意する。
・指導案の作成に行き詰まったら発問や導入の見直しを行う。
・授業は狙いをはっきりさせることが重要である。
・導入にこだわり、核となる発問を1つ用意する。
・指導案の作成に行き詰まったら発問や導入の見直しを行う。
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